「何から手をつければ…」という社長に、最初に“順番”を教えない理由

「やることが多すぎて、何から手をつければいいか、わからないんです」

これは、これまでに何度となく聞いてきた言葉です。

経営者に限らず、何かを動かそうとしている人ほど、こういう状態に陥ることがあります。

やらなきゃいけないことは山ほどある。

でも、いざ机に向かうと、何から始めるべきかわからない。

手が止まって、ただ時間だけが過ぎていく。

そんなとき、人は「順番」を求めます。

「優先順位をつけてください」

「まず何からやればいいのか教えてください」

「TODOリストを整理してほしい」

たしかに、やることが多すぎてパンクしそうなときは、まず全部書き出して整理し、優先順位をつけることが有効です。

実際、それについて具体的に書いた記事もあります。興味があるかたは、過去記事:『 1日を27時間に!業務の最適化への道(2) 優先順位の必要性と手順』をご参照ください。

でも、相談されたとき、私はそこですぐに“順番”を教えることはありません。

それよりも、『なぜ手がつけられないのか?』を一緒に考え、見にいくことのほうが大事だと思うからです。

目次

1. ”外側の順番” と ”内側の順番”

私自身も、かつては「とにかく順番を明確にすれば進める」と思っていました。

To Do リストを作ってタスクを並べて、フレームワークに当てはめて、数字で整理して…。

でも、それでも動けない人がいる。むしろ、それでも苦しんでいる人がいる。

そういう人たちと対話を重ねるうちに、私は気づきました。

「順番が決まらない」のではなく、「心が整っていない」だけなのかもしれないと。

順番には、

外側の順番(いわゆる、To Do リストで整理できるもの)

と、

内側の順番(タスクに取り掛かるために、まず整えておくべき心のなかのもの)

があるということです。

2. 外側の順番を先に決めない理由

「やることが多すぎて動けない」

という声の奥に、実は別の感情が隠れていることがあるんです。

迷い、不安、期待、責任、そして、自分の本音とのズレ。

それを無視して、「順番はこれです」と提示しても、結局動けない

だから私は、順番を決める前に、その人の“内側”を一緒に見にいくようにしています。

3. 内側が整えば、自然と外側の順番が見つかることがある

以前、ある経営者の方からご相談を受けたことがあります。

「やるべきことは、たぶん分かっているんです。でも、頭の中がぐちゃぐちゃになって、どうしても動けないんです」

そう言って、頭を抱えていらっしゃいました。

私はそのとき、

「じゃあ、やるべきことを一緒にリスト化しましょう」

とは言いませんでした。

代わりに、こんなふうに尋ねました。

「やらなければと思っていることの中に、“本当はやりたくないこと”はありませんか?」

少し沈黙した後、

「……あります」

と、その方は静かに答えました。

「では、それを“やらなければ”と思っているのは、なぜですか?」

そこから私たちは、“動けなさ”の背景にある思い込みやプレッシャー、

そして、気づかないうちに自分で背負っていた義務感について話をしました。

すると不思議なことに、最初に感じていた「何からやれば…」というモヤモヤが、

少しずつ薄れていったんです。

手が止まっている原因は、“やることが多い”からではなく、

“気持ちが整っていないまま、動こうとしているから”

ということがよくあります。

だから私は、外側の順番ではなく、まず『内側の納得』や『心の整理』から一緒に始めたいと思っています。

すると不思議と、自分で自然に

“いまやるべきこと”

そして、

“やるべきではないこと”

も見えてきたりするのです。

4. まとめ

世の中には、タスクの整理方法や優先順位のつけ方を教えてくれる情報がたくさんあります。

実際に、私自身もそれについて書いたことがあります(優先順位の記事はこちら)。

でも、「整理できない」「動けない」と感じているときは、

方法の前に“心の状態”に目を向けることが、本当はとても大事です。

私は、順番を教えることよりも、

その人の中から“自然に順番が立ち上がってくる”ように整えることを大切にしています。

それが、私の考える“伴走”です。

誰かに答えを用意するのではなく、一緒に問いの中を歩いて、一緒に自分なりの答えを見つけるような感覚です。

そんな関係性こそが、次に進む力を生む、と信じています。 

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