『不言実行』という言葉を知っていますか?
最近では、『有言実行』という言葉の方がポピュラーだと思いますが、もともと『不言実行』という言葉が先にあり、そこから派生して、『有言実行』という言葉が生まれて、いまではそちらの方が定着した、と認識しています。
では、この2つの言葉、どう違うのでしょうか? そして、どちらが良い、とかあるのでしょうか?
ここでは、これらの言葉についての考えや、どう扱うか、などをまとめています。
『不言実行』って?
『不言実行』とは、『あれこれ言わず、黙ってなすべきことを実行すること。』となっています。
ゴチャゴチャと理屈をこねたり、モンクを言ったりせず、やることをちゃんと実行する、というのが良い、とされていました。
そして、その対局が、言うばっかりで実行しない人、すなわち『有言不実行』ですね(『有口無行:ゆうこうむこう』という熟語もあるようです)。
まあ、これは言うまでもなくダメだというのはわかります。
たしかに、多くを語らず、立派なことをどんどんやり続けたらカッコ良いですね。
やはり、『不言実行』が一番エラい!
と、思うものの、昔からこの言葉、腑に落ちないものを感じていました。
『不言不実行』も有り得る
『不言実行』がちょっと腑に落ちない。
なぜなら、『不言』だと、実行していなくても他人にはわからないからです。
確かに、誰が見てもすごいことを次々のやってのける人が居たら、それは不言であろうと有言であろうと明らかに素晴らしいと評価されるでしょう。
が、最初からやるつもりがなかったことと、やろうとしたけどやらなかった、途中でやめた、ということとの区別がつきませんね。自分の中でも、いくらでもいイイワケができてしまいます。
なので、ほとんどの人については、やろうとしていることを実行したのかどうかは、言わないとわからない、つまり、不言だと実行してもしなくても判断できない、ということです。
不言(誰にも言っていないこと)だと、実行できなかったとしても、“不実行”の烙印を押されません。誰もそれをやろうと思っていたことを知らないので。だから、最初からなかったことにできます。
よっぽど意志の強い人だと、言っても言わなくてもやると決めたらやる!という人もいるかもしれませんが、多くの人はそんなに強い意志を持っていなくて、逃げ道が用意されていたら、どうしても逃げたくなるものです。
そして、実行したときだけ『不言実行』だと言い、実行できなかったら何事もなかったようにしておけば、『不言実行』は成立します。まあ、全く何もしないのはそもそも論外ですが。
そういうわけで、私は『不言実行』については、ホンモノとそうじゃない人の見分けがつかないので、存在自体に疑問を持っています。
やっぱり、『有言』のほうがハッキリしてて良いよね
昔は、交通や通信の手段が限定されていたでしょうから、人はみんなわりと小さいコミュニティで活動していました。
何かをやったら目立ったりウワサになったりして、そのことがそのコミュニティに広がり、それがその人の仕事につながったりしていたから、不言でも成り立っていたんだと思います。
むしろ、自分から多くを語らない人がカッコ良い、とされていたでしょう。
しかし現在では、情報発信、宣伝ツールが増え、口コミ以外の伝達手段がメインになったので、不言では誰にも伝わらず埋もれてしまう可能性が高まり、成立しないケースが増えたんだと思います。
自分から声高にアピールするのが当然の環境になった。
だから、有言が当たり前で、不言=存在がわからない、目立たない、となり、現代の生き方にちょっと合わなくなってしまった側面もあるんじゃないかと思います。
したがって、いまでは『不言実行』を謳う人はほとんどいなくなって、『有言実行』という言葉のほうがポピュラーになっているんだと思います。
『有言』と『実行』はセットで
当たり前ですが、『有言』は誰でもできます。ビッグマウスみたいなのがウケたりしますね。
でも、そこから実行しないと、一番カッコ悪い状態で、何回も有言不実行を繰り返すと、もう何を言っても信じてもらえなくなってしまうでしょう。
だから、ホント当たり前ですが、言ったことは実行するのが大事です。
でもどうすればずっと有言実行を続けられるか。
考え方、アプローチは2通りあると思います。
ひとつは、『確実にできることしか言わない』こと。
『実行』のほうから『有言』を決める方法ですね。これだと、まあ比較的ラクにクリアできるし継続できそうです。
でも、これだと誰でもできる当たり前のことしか言わないキャラになってしまいそうです。面白くないし、カッコ良くはない。
だから、もうひとつのほう、『ちょっとチャレンジングなことを言って、なんとかして実行する』ことを頑張ってみてはどうでしょう?
意識して、できたら嬉しいよな、カッコええよな、でもちょっとムリかも、ってことを敢えて言うようにして、できないと恥ずかしい状況を敢えて作ります。
そうしたら、恥をかくのはイヤなので、毎回なんとか感とか頑張ってギリギリクリアするようになります。それが習慣になれば、いつの間にかどんどんレベルアップしていけますし、他人からの信用度もアップするでしょう。
ちょうど良い『ちょっとムリっぽいけどギリギリできる』ところを設定するのが難しいかもしれませんが、ときに失敗しても良いと思います。とにかく実行すれば。続けていれば、そのうちコツがつかめてくるでしょう。
あ、でも、『有言不実行』の状態を恥ずかしいと思わない人、全く抵抗がない人もいるようなので、そういう人にはお勧めしません。
まとめ
- 『不言実行』だと、『不実行』が隠れてしまう。
- 『有言実行』が現代にマッチしている。
- 『有言』+『実行』は必ずセットで。
- ちょっと難しそうなことを『有言』して、『実行』できないと恥ずかしい状況を作ろう。
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