成功事業シミュレーションの手引き【準備編】

 これまでのいくつかの記事で、事業計画が大事なことや、事業を計画し、進めるための分析やマーケティング戦略構築などの重要性とその方法などを紹介してきました。

とはいえ、それらをいきなりやるには、ハードルが高いし、リスクもあるし、ということもわかっています。

それに対して、過去記事:『このアイデア、事業になるのか?うまくいくのか?』では、いきり具体的な計画に入る前に、
『まずはうまくいくかどうかの判断をする(=先にうまくいくイメージを作る)』

という、最初の1ステップ としての『事業シミュレーション』をおこなうことをおすすめしています。

今回、そのシミュレーションを自分でやってみるときの手順について、少し細かく解説してみたいと思います。

2回に分けて紹介しますが、この記事では、まず、シミュレーションを実施するために必要な情報・データを用意する部分まで解説します。

目次

シミュレーションの重要性

 こんな事業はどうだろう? と、思いつくことはあると思います。

そして、そのアイデアを事業計画にするには、自社・顧客・競合のリサーチ、分析や収益予測など、やらないといけないことがたくさんあり、時間と労力がかかります。

多くの人はその過程に高い壁を感じ、「このアイデアは事業になるのだろうか?」と判断ができずに止まってしまいます。

そうやって、考えあぐねていたら時間だけが過ぎていた、とか、手間ひまかけて検討して分析した結果、うまくいきそうにないことが判明した、となると、それまでの苦労が無駄になりますね。

とはいえ、そういう作業をすっとばして、とにかくいきなりやってみる、というのも、リスクが大きすぎておすすめできません。

では、どうすれば良いか?

ガッツリ計画や分析に取り組む前に、ひとつ、準備のステップがあると、スムーズに進められます。

それが、事業シミュレーションです。

商品・サービスの概要整理・設定

 まずは、商品・サービスの内容と販売単価を考えます。

どのような商品・サービスを考えているか。できるだけ具体的にイメージしてみてください。

価格は、いずれ、どのくらい利益が取れるか? 市場価格や顧客ニーズからかけ離れていないか?など、検証する必要がありますが、あまり細かく考えていると、前にすすみません。

まずここでは、『このくらいで売りたいな』と思う価格で設定してみてください。もちろん、あとで修正する必要が出てくる可能性はあります。

例)商品の価格設定

コスト、経費を洗い出す

 次に、その事業を進めるにあたって、かかるコストについて考えます。具体的には、おもに以下の項目があります。

原価

 イメージする商品・サービスは、原料や材料を仕入れて作るものですか? 一つの商品を提供するために必要な原材料費があれば、それを仕入原価として計上します。

また、商品を製造・加工するために費用がかかるなら、それを製造原価として計上します。
(製造業では、もっと細かい計算などが必要になりますが、ここでは割愛します。)

例)原価の設定

  (※ 製造原価=仕入原価+製造コストとしている。)

人件費

また、それを作るために、人手が必要ですか? 必要な場合は、それも念頭に入れておいてください。

具体的には、製造・販売する数量や関わり方(正社員、アルバイト、外注、業務委託など)によって変わってきますが、まずは、そこにコストがかかってくる、ということを意識しておいてください。

あと、自分自身の報酬も含めておくのも忘れないでくださいね。

例)人件費の設定

 (※ この例では、昇給や、税金/社会保険料などの要素も計算に含めています。)

初期にかかる経費

その商品を製造するために、器具や機械、設備を導入する必要がありますか?
それもあれば、その金額を経費として把握しておきます。

ほかに、事業をスタートするにあたって、用意しておくもの、準備が必要な作業などはあるでしょうか?

たとえば、製造以外でも、備品や道具など。また、店舗の内装が必要、とか、そういった費用も考えます。

必要になりそうなものは、把握しておきましょう。

(具体的に収支計画を立てる際には、購入した設備などはルールにしたがって、減価償却費などの科目で、数年にわたって費用計上するものですが、まずは、細かいことは置いておいて、ザックリと、どんなもの(こと)にどのくらいかかるか、がわかっていれば大丈夫です。)

例)初期費用のリストアップ

継続的にかかる経費

実際に事業を進める際に、継続的にかかる費用を考えます。

代表的なものは、家賃、水道光熱費、広告宣伝費、消耗品費、旅費交通費(出張費)などです。

細かい費用まで厳密に決める必要はないので、わかっている範囲でザックリどのくらい、という費用を挙げてみてください。

あと、経費には、

固定費(売上の増減に関係なく、必ず一定額必要なもの。家賃や水道光熱費など)

変動費(仕入れや材料費、外注費など、売上の増減にともなって費用が増減するもの)

があります。これらを区別しておくと、シミュレーションの精度は上がります。

が、人件費や旅費交通費など、厳密にはどちらになるか判断できない科目もありますので、まずは、明らかに売上に連動する原材料費や外注費などだけ、変動費として考えておいても良いと思います。

例)経費のリストアップ

売上と利益の目標を決める

 あとは、事業における売上と利益の目標額を設定します。

売上額は、どのくらいが妥当なのか、ピンとこない人も居ると思います。その際は、利益額から考えてみましょう。

1歩目の設定は、利益がゼロになるところを考えてみても良いでしょう。

そして、数年後には、このくらいの利益が欲しいな、という数字、まずは願望のようなものでも良いので、設定してみてください。

シミュレーションをやりながら、現実的なポイントを見極めていくので、この数字はあとで変更・修正することもあります。

なので、最初の数字は、あまり悩まず決めてみても問題ありません。

それから、目標値は、最初の数字と、3〜5年後の数字を決めておくと、計画に移しやすくなります。

まとめ

  • いきなり事業をやるリスクや、分析・マーケティングなどにかけるコストを無駄にしないために、まず、シミュレーションをしてみることがおすすめ

  • シミュレーションに必要なデータの整理をおこなう
    ・ 商品・サービスの内容と単価設定
    ・ かかる経費を洗い出す
    ・ 売上、もしくは利益の目標値を定める

 以上、ここでは、シミュレーションの準備段階、シミュレーションに必要な情報・データについて紹介しました。

ここから、実際にシミュレーションをおこなうのですが、その方法や、結果の検証については、次の記事でお伝えします。

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