無意識にやっていることが、焦りを生む

はじめに――本当に「必要なこと」だけをやっていますか?

「やらなきゃいけないことが多すぎる」
「時間が足りない」

そう感じる日に限って、なぜか前に進んだ手応えが薄い。

その原因は、
“やらなくてもいいこと”
が無意識に紛れ込んでいるからかもしれません。

無意識にやっていることに意識的に目を向けないと、
やらなくてもいいことは、見つかりません。

それを意識してピックアップするのが、
『Not To Do List(やらないことリスト)』 です。

『To Do List』は、誰もが知っていますね。
上手に使っている人も多いと思います。

でも、『Not To Do List』は使えていないばかりか、
存在を知らない人も少なくないのではないでしょうか?

実は、これでは、少し“片手落ち”なんです。
そして、この片手落ちが、焦りと忙しさを増幅させます。

まずは、無意識に積み上がった
“自動運転の行動”
に目を向けるところから始めましょう。

目次

1. 無意識のTo Do』が、時間とエネルギーを圧迫する仕組み

人の行動の多くは習慣と環境でできています。

「以前からそうしてきた」
「みんながやっている」
「頼まれたから」

──開始の理由が薄くても、
続ける理由があると勝手に存続します。

こうして増えた“自動的な行動”は、
一つひとつは軽くても合計で大きな負荷になります。

・形だけ続けている定例ミーティング
・意味の薄い確認メール
・「とりあえず」で開くSNSやニュース
・終えた後に「で、何が進んだ?」と自分で首を傾げる作業……。

これらは目的が曖昧なまま残っている“作業の化石”です。
抱えたまま走れば、当然息は上がり、焦りは増えます。

2. 焦りの正体は「やれない」ではなく「やめられない」

焦りを生むのは、やることの多さだけではありません。
本質は『やめられない理由』にあります。

・やめたら怠けていると思われるかもしれない(評価への不安)
・断ると迷惑をかけるかもしれない(関係への不安)
・やめた後に手持ち無沙汰になるのが怖い(空白への不安)

この三つの不安が重なると、必要性の低い行動ほど手放しにくくなる。

結果、「やる」よりも「やめない」ことにエネルギーを使い、
焦りが慢性化します。

焦りを減らしたいなら、
“もっとやる”ではなく、“やらないを決める”

が近道です。

3. 無意識を意識化する――「やらないこと」に光を当てる

無意識に続けている行動は、意識を向けない限り存在しないのと同じです。
だから、まず立ち止まって問い直すこと。

これは本当に必要か?
やめたら何が起きるか?(最悪を想定しても許容できるか)
続ける理由は“慣れ”や“惰性”になっていないか?

問い直すと、思っていた以上に
“必要ではないこと”が浮かび上がります。

そして書き出すことで初めて、頭の外に取り出せます。

ここで生まれるのが、『Not To Do List(やらないことリスト)』の原型です。

詳しい作り方は次回以降で解説しますが、
まずは“気づく→書く”だけで十分効果があります。

4. 書き出す行為がもたらす三つの効果

①混線の解消:頭の中に混ざっていた「やること/やらなくてもよいこと」が分離される。
②判断の加速:可視化されると「やらない」と宣言しやすくなり、意思決定が速くなる。
③心理的余白:リストが“言い訳”ではなく“方針”になるため、罪悪感が薄れる。

  • ポイント:To Doは『行動の管理』、Not To Doは『集中の管理』

両輪がそろって、ようやく前に進む手応えが戻ってきます。

5. よくある“無意識のTo Do”例(見つけやすい順)

・返信しなくても良いメールへの定型返答(礼儀のためだけの往復)
・目的の薄い打ち合わせ(「一応集まる」だけの会)
・役に立たない定期チェック(習慣化した情報収集)
・「過去の前提」を維持する作業(昔は必要、今は不要)
・誰かの期待を勝手に肩代わりする行為(頼まれていないのにやる)

これらは“やめても何も起きない”か、むしろ“やめた方が生産的”な場合が多いのです。

まずは一つ、試しに外してみる。
その小さな解除が、焦りの濃度を確実に下げます。

6. ミニワーク:5分で始める『やらないことの可視化』

紙でもメモでもOK。タイマーを5分に設定し、次の4つを書き出します。

1️⃣ やめたいのに、つい続けてしまうこと
2️⃣ 「やったほうがいい」と思い込んでいること
3️⃣ 他人の期待に応えるために、やっていること
4️⃣ やっているけれど、あらためて考えると意味がない・必要がないと気づいたこと

書けたら、一番軽そうなものを1つだけ“今週はやらない”に指定。

いきなり全部は不要です。
小さく確実に手放すことがコツ。
(具体的な運用や判定のコツは、次回の記事で扱います)

7. つまずきポイントと対処

罪悪感が出る:リストは“禁止”ではなく“方針”。「今はやらない」と時限付きで扱う。
周囲の目が気になる:目的と期待値を共有する。「今回は〇〇を優先するため、△△はやめます」。
戻ってしまう:週次で見直す「点検時間」を固定。迷ったら“最下点(最悪時)”を想定し、許容できるならやめる。

“続ける力”より“戻る段取り”を用意しておくと、ブレにくくなります。

8. まとめ――焦りを消そうとしない。原因を削る。

焦りは、あなたが「整えたい」と身体が知らせているサインです。

無理に消すのではなく、原因になっている“無意識のTo Do”を減らす。
そのための最初の道具が、Not To Do List。

今日は、ただ一つでいい。

「やめたら何も起きないこと」を見つけて、そっと外す。

それだけで、思考は澄み、時間には余白が戻ってきます。


 過去記事:「1日を27時間に!業務の最適化への道(1)(2)
 外部記事(note):「やらないことを決める勇気ーー『Not To Do List』のすすめ」

オンライン相談 

オンライン相談 
1回90分 11,000円 いまなら5,500円(税込)

ひとりで考えていても答えが出ない。けど、相談できる相手がいない・・・
そんな悩みを、気軽にご相談ください!

・申し込む前に、もう少し詳しい情報が欲しい
・自分のケースが当てはまるのか知りたい

など、ご要望のあるかたは、『お問い合わせフォーム』から、お気軽にご連絡ください!

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次