答えを教えない勇気――”相談に応える“本当の意味

「ちょっと相談したいことがあるんだけど…」

そんなふうに声をかけられたとき、どんな気持ちになりますか?

「しっかり答えてあげないと」

「間違ったことを言ってはいけない」

そんなプレッシャーから、“正解を出さなければ”と構えてしまう人が多いのではないでしょうか。

私もかつてはそうでした。

「相談にのるなら、ちゃんとした答えを見つけて返さないといけない」

と思い込んでいたのです。

でも今は、こう考えています。

相談にのるとは、“正解を与える”ことではない。

むしろ、“問いを一緒に歩く(=問題を共有し、解決までのプロセスを一緒に経験、伴走する)”ことのほうが、ずっと大切なのだと。

それは、どういうことなのか。

ここでは、正解を与えないことの意味・意義について、書いてみます。

目次

1.『相談にのる』とは、『一緒に考える』こと

相談されると、どうしても“アドバイスしないと”という意識が働いてしまいます。

でも実際のところ、相手が求めているのは、具体的な『答え』ではなく、『安心』や『手応え』かもしれません。

そして、長い目で見たら、目の前の問題への『答え』より、『答えを見つける力』が手に入るほうが、価値があるでしょう。

もちろん、こちら側には知識や経験があり、それによる答えや解決方法を期待されているのは間違いありません。

ですが、その知識や経験をそのまま“正解”として押し付けてしまっては、本当の意味での解決には至りません。

大切なのは、『その人の立場で、一緒に考える』というスタンス。

知識や経験を示すことではなく、一緒に迷って考えてくれることに信頼を感じる場合もあるのです。

また、問題に対し、答えを与えられると、そこまでに至るプロセスは手に入りません。

そうすると、その問題は解決できたとしても、別のシチュエーション、タイミングで、同様の問題に遭遇した場合、また同じように答えを与えられないと解決できないのです。

逆に、答えが与えられず、自分で考えて答えを導き出す、というプロセスを経験すれば、別の問題に遭遇した場合でも、応用が効くので、問題への対応力がどんどん蓄積されます。

2. “正解を与えない勇気”が、相手の力を引き出す

人は、困っているときほど

「すぐに解決して安心したい」

「いますぐ正解がほしい」

と思いがちです。

でも、そこでこちらが即答してしまうと、相手は『自分で考える』機会を失ってしまうこともあります。

私が警戒しているのは、“相談=正解がもらえる”という依存の構図です。

相談されるたびに、短絡的に答えを出してしまうと、相手は“考えること”を放棄してしまいます。

それは、一見すると役に立っているように見えて、実は相手の自立を妨げてしまうのです。

伴走者の役割は、問いを一緒に歩きながら、相手が『自分で選ぶ力』を得る手助けをすること

だからこそ、

『あえて答えを伝えない』

『判断の代行をしない』

という姿勢も、ときには必要なのだと感じています。

3. 実例:答えを出すことの落とし穴と、問いを共に持つ力

以前、私は「これはこうすれば解決できますよ」と、明快に答えを提示していたことがありました。

そういう関係が続くと、相手は、「困った。どうすればいい?」と、すぐに相談してくるようになります。そして、答えを聞き出そうとします。

そして、答えを聞くと、それで安心します。

それでは良くないな、と感じ、あるとき、「まず、自分でも考えましょう。一緒に考えますから」と伝えました。

すると、「自分で解決できないから相談している。答えを教えてくれないなら、もう必要ない」というようなことを言われてしまいました。

“相談=自分で考えなくて良い” という構図を作ってしまっていたのです。

良かれと思ってしていたことが、相手の『考える力』を身につける機会を奪ってしまっていたことに気づきました。

逆に、別のケースでは、明確な答えを出さず、ただ「それって、どう感じてる?」「どうなったら安心する?」「いまできそうなことは何?」など、問いを返しながら、相手と一緒に考え続け、問題の本質を少しずつ解きほぐしていったことがありました。

すると、時間はかかりましたが、相手の中から“自分なりの答え”が生まれ、最終的には納得のいく行動が取れたのです。

私たちは、『答えを出さないこと』を怖がりがちです。

相手が納得する答えを出さないと、知識や能力が不足していると思われるかもしれない。

頼りない、という印象を植え付けているかもしれない。

そんなことを危惧して、がんばって答えを出そうとしてしまいます。

でも、答えを与えずに一緒に歩むことこそが、深い対話と信頼を育むこともあるのだと、身をもって知りました。

4. まとめ:『正解を与えない勇気』を持てるか?

「相談されたら、ちゃんと答えなきゃ」

そんな思い込みが、自分にも相手にもプレッシャーをかけてしまいます。

けれど、もしあなたが『正解を与えない勇気』を持てたなら、

相手が“自分で考え、選び、進む”力を身につける支えになれるかもしれません。

また、自分が問題に直面したときに相談する相手は、

『答えを出そうとする人』ですか? それとも、

『一緒に問いを歩いてくれる人』 ですか?

問いを共に持つ。

答えを焦らず、寄り添う。

それが、私の考える“伴走”のあり方です。

誰かに相談されたとき――

あなたは、すぐに『正解を教えよう』としていますか?

それとも、『一緒に問いを歩く』ことを、選んでいますか?

そして、あなた自身が問題に直面したとき――

自らが答えを導き出せる力をつけていく。そこに寄り添ってくれる相談相手を選んでいますか?

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