私は、2007年後半から2018年3月まで中国(上海)に住んでいました。
中国で、大阪にあるメーカの現地法人を立ち上げるところから携わり、10年ちょっと住んでいたことになります(厳密に言えば、途中2012,2013年の2年間は北京に住んでいました)。その後、その仕事を辞め、いまは日本で活動しています。
住んでいた頃もそうでしたが、最近でも、私が中国に住んでいたことを知ると、
『中国ってどんなところ?』
と訊かれることがあります。それが、返答に困ります。
なぜ、返答に困るのか。ここでは、その辺の話をしたいと思います。
『中国』といっても一つでは無い
中国のことについて日本の知人や友人によく訊かれること。それは、
『中国ってどんなとこ? 寒い?暑い?』
『中国人ってどんな人?』
『本場の中華料理ってどう?美味しい?からい?』
みたいな質問です。
これを訊かれて、なぜ返答に困るかというと、、、
中国ってめちゃめちゃデカいからです。
で、人口も多い。日本の10倍(たぶんそれ以上)。
だから、中国でも気温がマイナス30度のところもあるし、40度の高温になるところもあります。
乾燥しているところもあり、湿気ジメジメのところもある。
良い人もいれば悪い人もいる(まあ、これは中国に限ったことではないでしょうが)。
言葉も地方によって全然違う。
料理も、その地方で使う素材も違うし、味付けも違う。何もかもゲキカラ、って料理もあれば、甘い味付けが特徴の料理もある。
だから、ひとまとめにして、『中国って』と問われると、答えに困るんです。
見つけた答え
でも、何度も訊かれるうちに、それに対するひとつの答えを見つけました。
『中国を、ヨーロッパと同じだと考えてみてください』
一つの国だと思うから、一つの特徴があるとイメージしてしまうんだと思います。だから、ヨーロッパだと思えば。
英語とドイツ語、イタリア語、全部違いますよね?スペイン料理とフランス料理も全くの別モノって認識していますよね?誰も、『ヨーロッパ料理ってどう?からい?』って訊くひとはいないと思います。
そうやって、『上海と北京は別の国みたいなもんですよー』って感じで答えます。
実際にそうなんです。いわゆる“中国語”というのは北京語をベースに人工的に作られて、全国民が明日からこれを使うように、と決められた言語です。
昔は各土地で全く別の言葉で話していたそうです。それではちょっと離れたところの人とコミュニケーションが取れない!ということで統一言語が用意され、強制的に普及されたようです。
ヨーロッパでいうところの英語のようなものですかね。国を渡って交流するための共通語になっている、ということで。
でも、学校では共通語(普通話:プートンファ といいます)を習って使いますが、地元の人同士では地元の言葉で話すことがいまでも多いようです。
私も、上海人同士の上海語での会話をよく聞きましたが、10年住んでいても、結局ほとんど聞き取れませんでした。それくらい、普通話とは発音が全く違います。
性格や気性もやはり地方によって違います。もちろん、個人差はありますが、その土地、地方での特徴のようなものはあると思います。
沿岸部と内陸部では経済状態も違うし、教育や情報の質と量も異なるので、リテラシーにも差が出てきます。
なんでも一つにくくらない
中国や中国人に対して極端に悪いイメージを持つ人が居るな、と感じたことがありますが、これは、メディアの情報の影響でしょうね。そういうバイアスがかかった情報が多かったのだと思います。
でも、上で言ったように、人それぞれで、良いところも悪いところもあるんです。もちろん、見習いたいと思うところもあります。例えば、お年寄りや、親兄弟のことを大事にするところとか。他にもいっぱいあります。
そして、最近は逆に、中国を持ち上げるような偏向報道が多いのも辟易しています。中国が日本より発展している印象を与える報道をしてみたり、逆に都合が悪いことは報道しなかったり。
私の実感として、政治と、“中国”“中国人”を一緒にしてほしくないな、と思います。
政治的には諸外国と摩擦もあるでしょう。でも、それは、一党独裁政権である共産党がやっていることで、我々が接触する一般の人とは別ものである、ということ。
一般の人は、もちろん良い人もいっぱいいますよ。
だいたい、ひとしきり私の経験談を話すと、『イメージが変わった!』と言われます。
自分で確認して、個別に正しい認識・判断を
ひとは何かとひとまとめにして評価したがるものです。
わかりやすく中国って、という例を出しましたが、それに限らず、世代とか職業とか、いろんなカテゴリーを作ってまとめて評価していたらラクなのかもしれません。
でも、その評価には限界があるし、ヘタしたら大きく間違った判断をしてしまうかもしれません。
とにかく、メディアの印象操作や、バイアスがかかった情報に惑わされず、ひとつひとつちゃんと吟味して、みんなが自分で正しい情報を取捨選択できて、正しい判断、行動をできるようになれば、と思います。
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