はじめに:リスクを『避けるもの』と思っていませんか?
「リスクがあるから、やめておこう」
「リスクが高いから、今回は見送る」
そう言われると、どこか安心します。
でも、本当にそれでいいのでしょうか。
リスクは“危険”ではありません。
本来の意味は、
『結果がどうなるか、まだ確定していない状態』です。
つまり、
リスクとは
『未来の不確実性そのもの』。
危険と混同されがちですが、
リスク=ネガティブなものではなく、可能性の幅を示す概念です。
1. リスクを『避ける』と思考が止まる
リスクを“危険”とみなすと、
人は自然に『安全な選択』を最優先にしようとします。
確かにそれは一見、堅実な判断のように見えます。
しかし、『避ける』だけでは前に進めません。
挑戦も変化も、すべて不確実性を含んでいます。
もしリスクを完全に排除してしまえば、
新しい価値も成長のチャンスも失われてしまうのです。
リスクを避けることは、
『失敗を防ぐ』以上に『成功を遠ざける』行為でもあります。
2. リスクが怖いのは『見えない』から
リスクを恐れる最大の理由は、
その正体が見えていないことにあります。
人は『不確実なもの』を恐れます。
でも実際は、未知の部分を可視化できれば、
多くのリスクは“扱えるもの”に変わります。
焦りや不安と同じように、
リスクも“見えないままにしておく”ことで
肥大化していくのです。
だからこそ、リスクは『避ける』のではなく、
まず分解して、構造を理解することから始めます。
3. リスクを『分解』して扱う、3つのステップ
Step 1:発生確率(どの程度の頻度で起こるか)
どんなリスクにも“起こる確率”があります。
高頻度で発生するが影響が小さいもの、
逆に、ほとんど起こらないが影響が大きいもの。
起こりやすさを言葉で整理するだけで、
『それが本当に怖いものか』が見えてきます。
例:
・クライアントからの要望変更 → 発生確率:高
・重大トラブルや訴訟リスク → 発生確率:低
Step 2:影響度(起きたとき、どれだけ影響するか)
すべてのリスクが同じ重さではありません。
同じ出来事でも、受ける影響は立場や状況で変わります。
ここで重要なのは、自分にとっての影響範囲を考えること。
例:
一時的な支出 → 影響度:小
信頼や信用の損失 → 影響度:大
Step 3:対応可能性(どこまでコントロールできるか)
最後に見るべきは、『自分で扱えるかどうか』。
どんなリスクも、“対応の余地”があれば恐怖は減ります。
コントロール可能なリスクは、対策の設計対象になります。
一方、コントロールできないリスクは、
『想定して備える』だけで十分な場合もあります。
さらに、もう一歩踏み込んで考えると、
『リスクの最下点』=最も悪い結果になった場合の姿
を想定してみることが大切です。
そのときのダメージが、
『自分のキャパシティで対応できる』
と判断できるなら、
そのリスクは取る価値がある。
逆に、対応不能なほどのダメージになるなら、
そのリスクは『避ける・分散する』判断が適切です。
リスクを取る・取らないの基準は、
“恐怖の大きさ”ではなく、“対応できるかどうか”。
4. リスクは『扱う』もの
焦りを扱い、時間を設計するのと同じように、
リスクもまた、“扱う”ものです。
避ける・無視する・我慢する、ではなく、
見て、測って、備える。
不確実性の中にあるのは、危険だけではありません。
そこには、成長や変化、創造の余地も含まれています。
だからこそ、
リスクを正しく理解し、扱える人ほど、
大きな挑戦を小さな不安で進めることができるのです。
5. まとめ:リスクを測れる人が、決断できる
リスクは“避けるもの”ではなく、“扱うもの”。
そして扱うには、分解して測る視点が欠かせません。
発生確率 × 影響度 × 対応可能性
この3つを整理するだけで、
「なんとなく怖い」は
「明確に備えられる」に変わります。
不確実性は、危険とは限りません。
むしろ、その中にこそ、可能性が眠っています。
焦り・時間・リスク。
どれも“整える”ことで、判断の精度が上がっていきます。
次に必要なのは、
『リスクを見据えたうえで、どう決断するか』という視点です。
それについては、別の記事でお伝えします。
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【関連記事】
過去記事:「『時間がない』の正体ー意思決定を守るスケジューリング術」
「リスクは避けるものじゃない!?」
外部記事(note):「焦りは”合図”だった」
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