自分の軸がズレていく理由ーー無意識に”外側基準”になってしまう仕組み

毎日、私たちはたくさんの「判断」をしています。

仕事で決めること、生活の中の小さな選択、
人との関わりでの言葉の選び方――。

無意識のうちにしている判断もたくさんあります。

では、その判断をするとき、
何を基準に選んでいるでしょうか?

意外と、「基準」を意識していない人は多いです。

気分で選ぶときもあれば
誰かの意見に寄せるときもある
SNSのトレンドがふと頭をよぎるときもある
「なんとなく」で選ぶこともある

判断の基準は、
いつもはっきり言語化されているわけではありません。

しかし、実はここに
“ブレやすさ” の原因が隠れています。

目次

1. 判断には必ず「基準」がある

判断とは、
AとBのどちらが“より自分に合っているか”を選ぶ行為です。

ここで大事なのが「基準」。

実は、判断には必ず何らかの基準が存在しています。

たとえば――

・自分が大事にしていること
・価値観や好み
・目指したい方向
・自分なりの優先順位

こうした「自分の中」にあるものを元に選ぶこともあれば、

・周りの反応
・評価されそうか
・世間的に“良い”とされる方
・他人の期待

こうした「外から入ってくる情報」を元に選ぶこともあります。

どちらが正しい、という話ではありません。
ただ、判断の基準には大きく分けて
 “自分の中” と “外からの影響” の2種類がある

ということです。

この記事では、説明のために

自分の中にある基準 → 内側の基準
外から入ってきた基準 → 外側の基準

と呼ぶことにします。

そして現実には、
その基準が曖昧になったり、
無意識のうちにどんどん外側へ寄ってしまうことがあります。

たとえば――

・反応の良さを基準に選ぶ
・世間的に“良い”とされている方を優先する
・“評価されそうかどうか”が前に出る

これは誰にでも起きることで、悪いことではありません。
ただ、自分の本来の基準とズレていくサインではあります。

2. なぜズレるのか(基準が外側に寄る仕組み)

判断の基準は、
最初から外側にあるわけではありません。

ほとんどの場合、「無意識の影響」でズレていきます。

その無意識の中身をほどくと、次の3つがあります。

評価が見えやすい時代だから

SNSも仕事の世界も、評価が数値化されやすい。

そのため、評価という“外側の基準”が
私たちの内側に自然と侵入しやすくなっています。

「顧客視点」がいつの間にか「他人軸」に変わる

これは、真面目な人ほど起こります。

本来の顧客視点は、
“相手の状況に寄り添う”という意味ですが、
無意識のうちに

相手にどう見られるか
評価されるかどうか

に変質してしまうことがあります。

判断の軸が、気づかないまま
「相手にどう思われるか」に寄っていくのです。

情報の多さで、自分の基準がかき消される

・トレンド
・評価
・成果報告
・“成功しているっぽい”人の言葉

情報が多すぎると、
自分の基準が“外の情報の音”に紛れやすくなります。

これも、判断のズレを生む要因になります。

3. 外側基準が強くなると、判断はこう変わる

「外側の基準」が強くなってくると、
判断の仕方や、日々の感じ方に少しずつ変化があらわれてきます。

ここでは、その変化をもう少し具体的に見てみます。

自分の感覚より、「どう見られるか」が前に出てくる

まず起こりやすいのが、
自分の感覚より、他人の反応を優先してしまう という変化です。

・本当は違和感があるのに、「まあ、みんなそうしているから」と選んでしまう
・自分のペースより、「周りに合わせたほうが、角が立たない」と考えて動いてしまう
・「自分はどうしたいか?」より、「変に思われないか?」が先に浮かぶ

こうした選び方が続くと、
少しずつ 「自分がどう感じているか」が分かりにくくなって いきます。

納得感のない選択が増え、モヤモヤがたまりやすくなる

外側の基準が強くなると、
「それなりに正しいけれど、どこか腑に落ちない」
という選択が増えていきます。

表面上は“正しい選択”に見える
人からも否定されにくい
でも、自分の内側では「なんか違う」と感じている

このズレが積み重なると、
行動しているのに満足感が得られない状態 になりやすくなります。

「これだけがんばっているのに」
「ちゃんとやっているはずなのに」

という思いと、
どこか満たされない感覚のギャップが、
じわじわと心に残っていきます。

判断がブレやすくなり、「自分で決めた感覚」が薄れていく

外側基準が強いと、
状況や相手によって、判断がコロコロ変わりやすくなります。

著名な人の意見を聞くたびに揺れる
Aさんの前ではこう言い、Bさんの前ではまた違うことを言う
そのたびに「どれが本当の自分なんだろう」と分からなくなる

こうなると、
「自分で決めている」という感覚が薄れていく ため、
決断するたびに不安がつきまといます。

ブレるたびに
「自分は意志が弱いのでは」
と感じてしまうこともありますが、
実際には、意志の強さの問題というより、
単に 基準が自分の外側に置かれてしまっているだけ なのだと思います。

小さな選択ほど重く感じられ、疲れやすくなる

外側基準に寄っていると、
本来なら軽く決められるはずのことまで、重く感じてしまうことがあります。

・メール一本返信するのにも、妙に時間がかかる
・「これを言って大丈夫だろうか」と何度も見直してしまう
・メニューひとつ選ぶのにも迷ってしまう など

選択のたびに「どう思われるか」を考えることになるので、
判断の回数だけエネルギーが消費されてしまう のです。

その結果、
「大きなことに取り組む前に、もう消耗している」
という状態になりやすく、
自分でも理由のよくわからない疲れとして積み重なっていきます。

何が危険なのか ―― 少しずつ「自分」が薄くなっていく

こうした変化が続くと、
すぐに何か大きな問題が起こるわけではありません。

ただ、少しずつ「自分」が薄くなっていく ことが、
一番の危うさだと感じます。

・自分の感覚が分かりにくくなる
・自分で決めた実感が持ちにくくなる
・納得感のない行動が増え、満足が減っていく
・「自分がどうしたいか」を語りにくくなる

そうして時間が経ったとき、
ふと立ち止まってみると、

「自分はいま、誰の人生を生きているんだろう?」

そんな問いが浮かぶことがあります。

外側基準に引っ張られてしまうこと自体は、誰にでも起こり得る自然なことです。

でも、それが続きすぎると、
“自分の軸”そのものが見えにくくなる という点で、少し注意が必要です。

だからこそ、
「いま自分はどんな基準で選んでいるだろう?」
と立ち止まってみることが、
次のステップ(自分の軸を取り戻す)への入り口になります。

4. 気づくためのヒント

判断が外側に寄っているときには、
小さなサインが日常のあちこちにあらわれます。

たとえば――

・なんとなく疲れやすい
・迷いが増え、判断が遅くなる
・「何がしたいか」が言いにくい
・SNSや他人の反応に気持ちが揺れやすい
・自分で決められず、誰かの意見を待ってしまう
・誰かの言葉に、深く考えず“とりあえず従ってしまう”

こうした状態は、
「ただの疲れ」や「ちょっと迷っているだけ」
に見えるかもしれません。

でも実は、
“外側の基準に寄り始めていますよ”
という小さなサイン であることも多いのです。

とはいえ、サインに気づくことは簡単ではない

ここで少し大切なのは、
サインがあっても自分で気づけないことが多い
ということです。

外側の基準に引っ張られているときほど、
このズレはとても静かに起こります。

「今日はなんとなく疲れているだけ」と思ったり
「判断できないのは性格の問題だ」と解釈してしまったり
「みんなこんなもんかな」と思い込んだり

そんなふうに、サインを“いつものこと”として流してしまうと、
ズレはさらに気づきにくくなっていきます。

これは弱さでも、鈍さでもありません。
人間は誰でも、自分の変化には鈍感になりやすい のです。

だからこそ、「習慣的に立ち止まる」ことが大切になる

違和感に気づけるときはもちろん良いのですが、
それ以上に大事なのは――

違和感があるかどうかに関わらず、
“ときどき立ち止まる習慣” を持つこと。

判断の質を上げる人は、
この「立ち止まって見つめる」という時間を
ほんの数十秒でも、自分の中に仕込んでいます。

具体的には、

・今日の判断に、自分はちゃんといたかな?
・誰かの反応だけで選んでいないかな?
・今の選択に、自分なりの納得はあるだろうか?

こうした小さな問いかけを、
一日のどこかにそっと置いておく。

それだけで、
外側へ滑りやすい基準を、
少しずつ自分の中心へ戻せるようになります。

これは“正しさ”のためではなく、
自分が自分を見失わないための、小さな整えの習慣 です。

5. まとめ――まずは基準に気づくことから

判断の基準は、
気づかないうちに外側へ寄ってしまうことがあります。

それは誰にでも起こる自然なことで、
あなたの弱さでも、間違いでもありません。

大切なのは、
「いま、どんな基準で選んでいるだろう?」
と、ときどき立ち止まってみること。

・判断が重い
・他人の反応が気になる
・自分で決めにくい

そんな小さなサインは、
基準が少し外側へ寄っていますよ、という合図です。

気づけるときもあれば、気づけないときもあります。
だからこそ、習慣として静かに振り返る時間をつくることで、
判断はゆっくりと自分の中心へ戻り始めます。

次回は、
“外側へ寄った基準” をどうやって自分の軸へ戻していくのか。
その具体的なステップをお伝えします。

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【関連記事】
 過去記事:「動いてみる。それが一番の整理になる
      「動かしながら整える ― 計画を“実験”に変える
      「小さな動きを、習慣に変える ― サイクルを回す仕組み

 外部記事(note):「自分の軸で、生きていく。―― “自分の在りかた”を整え、中心に置くために

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