前回の記事では、判断の基準がいつの間にか “外側” に寄ってしまい、
気づかないうちにズレが生まれる、という話をしました。
では、そのズレに気づいたあと、
どうすれば「自分の軸」に戻っていけるのでしょうか。
今回は、
外側に寄った基準を“内側”へ戻す方法について、
私自身の経験も交えながらお伝えします。
これは、一気に人生を変えるような劇的な方法ではありません。
日常の小さな整えの積み重ねによって、
少しずつ判断の中心が自分へ戻っていくような、静かなプロセスです。
1. なぜ“内側”に戻ることが必要なのか
判断が外側に寄っているとき、
人は「自分で決めている感覚」を失いやすくなります。
・誰かに合わせて選んでしまう
・“正解らしきもの”を探してしまう
・自分の声より、外の声が大きく響く
そうなると、
選んでも納得しない/決めても不安が残る
という状態が増えていきます。
理由はシンプルです。
判断の基準が、自分の中心から離れてしまっているから。
本来は、
・自分が大事にしていること
・自分がどう在りたいか
・自分の向かいたい方向
こうした 内側の基準 に沿って選ぶほうが、判断はしっくりきます。
でもその基準は、
気づかないうちに外側へ引っ張られます。
だからこそ、
“内側”に戻る仕組みを持つこと が必要になります。
2. 私自身が「他人軸」へ寄っていった経緯
私はもともと、
「誰かの役に立ちたい」という思いを強く持っていました。
それに加えて、ビジネスの世界では何度も繰り返し耳にします。
「顧客目線が大事です」
「相手の立場に立ってニーズを考えましょう」
もちろん、これは大事な価値観です。
私も真剣に受け取り、実践しようとしてきました。
しかしここから、
無意識の“ズレ”が始まりました。
最初は
「相手の役に立ちたい」
と思っていたはずが、知らず知らずのうちに、
「相手に評価されること」
をゴールにしてしまった。
“顧客視点”は、いつの間にか
自分の感覚より
「どう思われるか」を優先し
自分の軸より
「評価されそうか」が前に出て
判断の基準が“他人軸”へと寄っていく
という状態になっていました。
誰に責められたわけでもありません。
自分が勝手に、無意識に寄っていってしまったのです。
このズレに気づいたとき、
「このままでは、自分が自分じゃなくなってしまう」
と、強く感じました。
そこから、
自分の軸を取り戻すための方法を少しずつ模索するようになりました。
ここでは、その方法を3つのステップで紹介します。
3. 自分の軸に戻る3ステップ
ステップ①: “いまの判断基準” を明らかにする
まずは、
自分が今どんな基準で選んでいるかを知る必要があります。
次の3つの質問を、毎日どこかで静かに問うだけで十分です。
・今日の判断に、自分はちゃんといたか?
・他人の反応だけで選んでいなかったか?
・その選択に、自分の納得はあっただろうか?
ここで大事なのは、
正しさではなく、自分がそこにいたかどうか。
自分の現在地が見えてくるだけで、
判断の軸は少し動き始めます。
ステップ②: “在りたい自分” に焦点を当て直す
判断は、本来“在りたい自分”に沿って行うものです。
だからこそ、基準を整理するには、
自分の内側の声に光を当て直す必要があります。
難しい作業ではありません。
・どんな状態でいたいか
・どんな選び方をしたいか
・どんな人でありたいか
こうした “在り方” の輪郭を静かに見つめるだけで、
判断の基準は内側へ戻っていきます。
判断は、
自分の在りかたの延長線上にある行為
だからです。
ステップ③: 判断の直前に「ワンクッション」を置く
判断が外側に寄っているときほど、
人は条件反射的に選んでしまいます。
・嫌われたくない
・正解っぽいほうを選びたい
・評価を落としたくない
こうした“反応”が先に出るからです。
そこで必要なのが、
「これは、自分の基準で選んでいるだろうか?」
と、判断の直前にそっと挟むワンクッション。
この数秒で、
判断は反応ではなく“選択”に変わる
という、大きな意味を持ちます。
4. 自分の軸へ戻るプロセスは、“整える”行為に近い
基準を自分の中心へ戻すことは、
大きな改革ではありません。
むしろ、
「整える」という静かな行為に近い と感じています。
ここで言う「整える」は、
何かを劇的に変えることではなく、
・余計なものを減らす
・必要なものを手前に戻す
・自分にとってしっくりくる配置にする
という、小さな調整のこと。
部屋を整えるとき、
いきなり全部捨てるわけではありません。
・必要なものを選び、
・使いやすい場所に戻し、
・余計なものは脇にどかす。
習慣を整えるときも同じで、
自分のリズムに合わなくなったものを見直し、
少しずつ調整していきます。
思考を整えることも、
本質は変わりません。
・外から入った情報をいったん脇に置き
・自分にとって大事なものを手前に出し
・「これは自分の言葉だ」と思えるところまで静かに整理する
判断を整えることも、まさにこれと同じです。
判断を整えるとは、
・判断に“他人の基準”が入りすぎていないかを見ること
・自分の本来の基準を、もう一度手前に置き直すこと
・「今回はどんな基準で選びたいか」を静かに選び直すこと
という、非常に“整える”に近いプロセスなのです。
そして、この整えが続くと、
・迷いが少し減り
・決めたあとに納得が残り
・「自分で選んだ」という実感が戻ってくる
そんな変化がじわりと積み重なっていきます。
5. まとめ ―― 自分の軸は、小さな整えの積み重ねで戻っていく
判断の基準は、
気づかないうちに外側へ寄ってしまうことがあります。
それは誰にでも起こる自然なことです。
大切なのは、
・“外側へ寄る仕組み” を知ること
・“内側に戻す方法” を持つこと
・日々の中で小さく整え続けること
たったこれだけで、
判断はゆっくりと、自分の中心へ戻り始めます。
次回は、
その“内側の基準”をどう維持し、揺らがない軸として育てるか
というテーマでお伝えします。
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【関連記事】
過去記事:「動いてみる。それが一番の整理になる」
「動かしながら整える ― 計画を“実験”に変える」
「小さな動きを、習慣に変える ― サイクルを回す仕組み」
外部記事(note):「自分の軸で、生きていく。―― “自分の在りかた”を整え、中心に置くために」
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