「しっかり考えてから動きたい」
「ちゃんと計画を立ててから進めないと」
そう思う人は多いと思います。
もちろん、闇雲に進むのではなく、構想や判断を経たうえでの行動は大切です。
私も、事業者のかたには、
「行き当たりばったりではなく、計画を立ててから事業を進めましょう」
とお伝えしていますし、
事前のシミュレーションや、数年後のゴールを見据えた事業計画の作成のお手伝いもしています。
けれども、それだけでは見えないこともあるのです。
実は「進めてみる」ことでしか見えない課題や、逆に可能性があるのです。
前回記事では、『決断』フェーズについてお伝えしました(過去記事:「『決断』に必要なのは、勇気ではなく“納得と設計”」参照)。
今回はその決断後、『動き出したあと』に何が起こるのか、について触れてみたいと思います。
1. 進めることで”見えてくる”こと
考えていたときには見えなかった現実が、動き出すと突然浮かび上がってくる。
そんな経験はありませんか?
・想定していた課題とは別の、本質的な問題が見えた
・「難しそう」と思っていたことが、やってみたら意外とスムーズだった
・思っていた以上に相手の反応が良かった
実行することで得られるのは、“事実”と“反応”。
頭の中にある仮説を、実際に検証できるのは、行動した人だけです。
実行する前に、ゴールを設定し、シミュレーションして、ゴールに到達するまでの計画を立てる。
このような十分な事前準備は、もちろん必要です。
ただ、そのシミュレーションや計画どおりに進のかどうか。
それは、実際にやってみないと見えてこないのです。
2. 想定と実際のギャップを検証する
行動によって見えるものには、『想定外』も含まれます。
でも、想定外のことが起こった=失敗とは限りません。
むしろ、『想定を更新するチャンス』と捉えることができます。
想定外のことが起こった、ということは、想定がまだ不十分だった、
もしくは、程度の測定が甘かった、ということ。
そこで、改めてその事態に対処する必要が生じ、結果として、そういった事態への対応力が鍛えられるのです。
そして、この“想定とのズレ”こそが、今後の精度を高める鍵になります。
たとえば、前回『決断』について書いたとき、リスクは『不確実性』だとお伝えしました。
事前に想定できるリスクは、あくまで“仮のもの”であり、実際にやってみることで初めてその精度が測れます。
・想定していたリスクの『大きさ』や『種類』は、実際とどう違ったか?
・想定と現実とのズレは、なぜ、どこから生まれたか?
・どこまでが“過剰な心配”で、どこが“現実に近かった”のか?
実行する、ということは、このようなことを検証する場と言えます。
そして、次に何かを決断するとき、
この検証結果を参考にして考えることで、リスクの想定精度が上がり、
より的確に判断できるようになります。
つまり、“進めてみる”というのは、未来の自分へのフィードバックでもあるのです。
3. 小さく進めて、フィードバックを得る
このフィードバックを数多く繰り返すほど、想定の精度は上がります。
そのために大事なのは、大きなリスクを背負うのではなく、まずは『小さく試す』こと。
いきなり完成形を目指すのではなく、“たたき台”を出してみる。
そうすれば、何回も繰り返すことができ、それだけ、他者からの反応や、自分の感覚からも多くの情報が得られます。
それが次の改善に繋がり、結果として“成功への近道”になることも少なくありません。
4. 実例:進めてみて変化した判断
以前、あるクライアントが『あるサービスの新しい切り口』を検討していました。
当初は「この方向ならいける」と考えて準備していたのですが、
実際に案を出してみると、反応はイマイチ。
逆に、
『一応候補には入れていたけど、自信がなかった案』
に思わぬ関心が集まり、方向転換することになりました。
それによって、
『ニーズのあるところ』
『自分がやりやすいところ』
が自然と合致する形になり、結果としてうまく回り出しました。
これも、『動いたからこそ得られた事実』です。
5. まとめ:進めて見えて、見えてまた進む
完璧な正解を探すことに時間をかけるより、小さくでも進めてみること。
その一歩が、『想定を超える課題』や『想定外の可能性』を見せてくれる。
そして、その気づきが、次の判断・決断の質を上げていきます。
ここまで、複数の記事に分けて、
『構想』→『判断』→『決断』→『実行』というフェーズとその流れをお伝えしました。
基本的には、何事も、このサイクルを何度も循環していくもの。
ときには、複数のことが同時に循環していることもあると思います。
そして、これを繰り返すうちに、循環が自然と習慣化されるようになるでしょう。
そうなるように、最初は、意識的にフェーズ踏みながら、考えて実行してみてください。
そのとき、忘れてはいけないのが、自分の“軸” です。
次回は、実行したあと、あえて“立ち止まる”ことに意味がある場合について、お伝えしたいと思います。
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