「これが良い、と判断まではできたけど、どうしても決めきれない」
「頭ではわかっているのに、動けない」
そんな声をよく聞きます。
判断まで整理できているのに、なぜ決断できないのか?
そこには、ある“心理的ブレーキ”がかかっている場合が多いのです。
今回は、構想→判断→決断という3フェーズの最後、
「決断」について掘り下げてみたいと思います。
(3つのフェーズは繋がっているものです。『構想』『決断』について、まだ読んでいないかたは、過去記事もご参照ください。
過去記事:「『できるかどうか』で考え始めると、何も始まらない」、「考えても決められないのは、“判断の軸”が見えていないから」)
1. 決断ができない背景には、「リスクを避けたい」という無意識がある
判断とは、選択肢を整理することでした。
そして、決断とは、“選んだものをやると決めて、動き出すこと”。
この“動き出す”の段階で、足が止まってしまう人は少なくありません。
なぜなら、行動には“リスク”が伴うからです。
『リスク』と聞くと、『危険』『避けるべきもの』という印象を持つかたも多いと思いますが、
実は、リスクは、そういう意味ではなく、
“結果がどうなるか分からない”という『不確実性』のことです。
要するに、狙ったところ、予測したところからのズレを意味するものです。
したがって、思ったより良い方向にズレることもリスクなのです。
(→詳しくは、過去記事:「リスクは避けるものじゃない!?」を参照)
リスクを『危険なもの』と認識していたら、避けたい気持ちになるのは、自然なものです。
「失敗したらどうしよう」「無駄になるかも」「周りに何か言われそう」
そうした思考が働くと、一歩が出なくなってしまう。
でも、裏を返せば、
「リスクがあるから動けない」というより、
「まだリスクが測れていないから」
「まだ納得できていないから」
動けないのかもしれません。
そもそも、リスクをゼロにすること、完全に回避すること、そんなことはできません。
漠然と考えていると、リスクの大きさや、そのときに起こることがわからないので、不安になります。
そして、不安は、悪いイメージをどんどん大きくしてしまいます。
そうなると、もう最初の一歩が踏み出せなくなりますね。
だから、リスクは必ずあるもの、という認識を持って、その大きさを把握してうまくリスクを取って進めるのです。
2. 決断は、“納得”と“設計”によって後押しされる
では、どうやったら、リスクを取って進める決断ができるでしょうか?
決断には、「これでいこう」と思える“納得感”が必要です。
そのために必要なのが、次の2つです。
納得:自分の“軸”に照らして選んだ選択肢であること
設計:やってみてどうするか、失敗した場合の次の一手があること
この2つがあれば、不確実性は“受け入れられるリスク”に変わります。
『構想』『判断』それぞれのフェーズでも、常に“軸”を意識していました。
ここでも“軸”が大事になります。
自分の“軸”に従って下した決断であることが、それを実行した際に、何が起こっても踏ん張れる力になります。
そして、リスクの大きさ、つまり、最も大きく(悪いほうに)ズレた場合がどのような状況になるのか、
が把握できていて、その場合にどうするかの対処がわかっていれば、
最初の一歩が踏み出せるでしょう。
たとえば、とあるかたの相談を受けていたときのことです。
A、B二つの案のどちらを進めるか、という状況で、そのかたは、
「A案は確実にできる。でも、本当にやりたい方向じゃないし、大きく発展しない」
「B案のほうがワクワクするけれど、うまくいくか不安」
と言っていました。
気持ちとしては、B案で進めたい、というのはわかりました。
でも、うまくいく確証はない。失敗したら、と思うと簡単には進めない。
その気持ちもわかります。
そこで、こんな設計を一緒に考えました。
B案で進める場合、
・小さく始める(=リスクのズレの振れ幅を最小限にする)方法はあるか?
・想定より進まなかった場合、何を変えるか、足せるか、削れるか、打つ手を用意できるか?
・必要になったら、戻る選択肢はあるか?それはいつの時点か?
・最悪の場合でも、やり直せる余力を残せるか?
こういった質問に回答するかたちで、設計していった結果、リスクの概要が見えてきました。
そしてそれ把握した上で、再度検討すると、
「最悪の場合でも、なんとかなる」
という実感を持ってB案に踏み出す決断ができ、
「これなら試してみよう」
と前向きに動き出せたのです。
3. 決断は、“選ぶこと”ではなく、“選んだことに向き合うこと”
決断は、正解を選ぶことではありません。
むしろ、「これにすると決めた」と、自分が“選んだことに向き合う”覚悟のこと。
だからこそ、決断には、勇気よりも「納得と設計」が効きます。
「自分の軸で選んだ」
「やってみてから調整できる」
この2つがそろえば、不確実性に対して構えができる。
そして、たとえ失敗しても、“想定内”として受け止め、対処できるのです。
4.まとめ:「決めきれない」時は、“リスクとの向き合い方”を見直す
最後に、もう一度問いかけてみてください。
・私は、何を恐れているのか?
・そのリスクは本当に“避けるべきもの”なのか?
・そのリスクを測れるか?
・計画の中でそのリスクを“扱う”方法はあるか?
リスクをゼロにすることはできません。
でも、
「このリスクなら受け入れられる」と思える設計ができれば、
決断は現実的な行動に変わっていきます。
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